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Channel: たるーの島唄まじめな研究
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なーしび節

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なーしび節 なーしびぶし Naashibi bushi ◯ナスビの唄 語句・なーしび 茄子、ナスビ。 一、実りよ実り茄子 姑ぬ家ぬ茄子 実らなそてぃ茄子 嫁名立ちゅみ なりよーなりなーしび しとぅぬやーぬなしび ならなそーてぃなーしび ゆみなたちゅみ Nari yoo nari naashibi shitu nu yaa nu naashibi naranasooti yumi nu naa tachumi ◯実れよ実れ茄子 姑(しゅうと)の家の茄子 ならなかったら嫁の名が立つまい 語句・なりよー 実れよ。<なゆん。ないん。実がなる。命令形。+よー 「よ。命令形の柔らげ、呼びかけ、など」【琉球語辞典(半田一郎)】(以下【琉辞】)。なりよ→融合して「なれー」というときもある。・しとぅ 姑。しゅうと。結婚相手の、義理の母親。・ならなそーてぃ ならないでいて。→ならないと。・ゆみ嫁。・たちゅみ立つか?反語で、「立つか?立たないだろう。」 二、うみ働り働り うみ働てぃぬすが 明日や出じゃさりる 嫁ぬくれぬ うみはまりはまり うみはまてぃぬーすが あちゃやんじゃさりるゆみぬくれーぬ 'umi hamari hamari 'umihamati nuu su ga 'acha ya 'Nzyasariru yumi nu Kuree nu ◯励んで働け、働け(というけど)励んで働いてどうするか?明日は放り出される嫁の身分が 語句・うみはまり 励め。<うみはまゆん。うみはまいん。命令形。「うみ」思い。没頭する。・んじゃさりる 出される。<んじゃすん。出す。受身形。・くれーぬ 位が。くらいが。「ぬ」 が。 三、明日や出じゃさりる 嫁ぬ身ややてぃん 居る間ぬ努み はまてぃさびら あちゃやんじゃさりるゆみややてぃん うるいぇだぬちとぅみ はまてぃさびら 'acha ya 'Njasariru yumi nu mii ya yatiN uru yeda nu chitumi hamatisabira ◯明日は追い出される(ような)嫁の身だけれど 家に居る間の勤めはお励みいたします 語句・うる 居る。<うん。居る。 四、嫁からどぅアンマー 姑んなてぃいめる うんじゅひちあてぃてぃ 愛さみしょり ゆみからどぅあんまー しとぅんなてぃいめーる うんじゅひちあてぃてぃ かなさみしょーり yumi kara du 'aNmaa shitu nati 'imeeru 'uNzu hichi 'atiti kanasamishoori ◯お嫁からお義母様も姑になっていらっしゃいます あなた様もご自分の事だと思い(私に)優しくしてください 語句・あんまー お母さん。・いめーる いらっしゃる。<いめーん 「居る、行き、来の尊敬語」【琉辞】連体形なのは、その前の「どぅ」との係り結びの関係。「どぅ」は強調の意だが、訳すときは「こそ」を省略してもかまわないときもある。また「しか」「だけ」という意味も多い。 五、鳥歌てば明きる 夏ぬ夜どぅやしが ぬがし姑びれや 明かしぐりしゃ とぅいうてーばあきる なちぬゆーどぅやしが 脱がししとぅびれーや あかしぐりしゃ tui 'uteeba 'akiru nachi nu yuu du yashiga nuu ga shi shitubiree ya 'akashi gurisha ◯鳥が鳴けば夜が明ける夏の夜であるが どうして姑との付き合いは明けにくい(いつまでも夜のようだ) 語句・とぅい 鳥、鶏。・うてーば うたえば。鳴けば。<うたゆん。うたいん。うてぃ+や→うてー。+ば(仮定)。・ぬがし どうして。<ぬー(何)+が(疑問)+し(強調)。「英語のhow,whyのいずれにも」【琉辞】。・しとぅびれー 姑との付き合い方。「どぅしびれー」は友達付き合い。・ぐりしゃ …しずらい。接尾語。形容詞の「くりしゃん」(苦しい)から。 嫁、姑の確執はいつの世でもあるのだろうが、男尊女卑の強い時代は「嫁」に大きな負担がのしかかっていたことだろう。 その嫁の側からの悲痛な声を唄にしたもので、実は全国にこの「ナスビ節」は流行歌として広まっていた。 「島うた紀行」(仲宗根 幸市編著)によると 「『大怒佐』(発行年度不明)一之巻吉野山に『なれなれ茄子、背戸のやの茄子、ならねば嫁のんん やあこれの 嫁の名の立つにんん やあこれの、嫁の名の立つにんん やあこれの』があり、熊本民謡に『なれなれ茄子』がある。ほかに「なれなれ なすび背戸のやの茄子、ならねど嫁の名の立つにヤァコリャコチラヘセ』(『巷謡篇』上『なすび』)-と関連する唄は多い。これらの歌は、一種の流行歌として日本全国に流布されたようである。沖縄の『なーしび節』も、その系統の沖縄化した歌と考えられる」 嘉手苅林昌さんの初レコードがこの「なーしび節」と「恋かたれ」だった。 CD「ジルー」に収録されている。 ところが、この林昌さんのほうは嫁姑の話ではなく、男女の恋歌となっている。 こちらの歌詞を次回はとりあげてみたい。 私事ですが、この四番の歌詞を嘉手苅林昌さんの下千鳥で聴いた。 その時はさっぱり意味がつかめなかったが「なーしび節」の一節だったとはしらなかった。

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