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Channel: たるーの島唄まじめな研究
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武富節

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武富節(貫花) だきどぅんぶし(ぬちばな) dakiduN bushi(nuchibana) 一、でちゃよ押し連れてあたい花むいが 花や露かむてむいやならん(へいやーよーぬひやるがひ)(以下囃し省略) でぃちゃよ'うしちりてぃ'あたいばなむいが はなやちゆかみてぃ むいやならん dicha yo 'ushichiriti 'ataibana muiga hana ya chiyu kamiti muiyanaraN 〇さあ 連れだって畑の花をもぎ取りに 花は露を乗せてもぎ取ることはできない 二、白瀬走川に流れゆる桜すくて思里に貫ちゃいはきら しらしはいかわにながりゆるさくらすくてぃ'うみさとぅにぬちゃいはきら shirashi haikawa ni nagariyuru sakura sukuthi 'umisatu ni nuchai hakira 〇白瀬走川に流れている桜をすくって愛しい貴方に(桜を)糸で通したりして首にかけよう 三、赤糸貫花や里に打ちはきて白糸貫花やゆいり童 'あかちゅぬちばなやさとぅに'うちはきてぃ しらちゅぬちばなやゆいりわらび 'akachu nuchibana ya satu ni 'uchihakiti siruchu nuchibana ya yuiri warabi 〇赤い糸の貫花は貴方に首にかけ 白糸の貫花はもらえ 子ども 解説 (語句) 一 ・'あたい 畑 菜園 ・むいが もぐために  <むゆん + i+ga ~しに(cf.「べーべーぬくさかいが」) ・かみてぃ <かみゆん のせる 二 ・かわ kawa 白瀬走川 しらせはいかわ 久米島具志川村にある川の名前。 ・はきゆん  首にかける 三 ・ゆいり もらえ <ゆいり<yiiri<iiyuN (コメント) 白瀬走川は久米島具志川間切にある川。流れが速いのでこの名前がある。 古典の呼び名で「白瀬走川節」 舞踊では「貫花」 古典女踊りでは雑踊りと区別して「本貫花」(むとぅぬちばな) 武富節と呼ばれるのは本歌が「真栄節」(まざかいぶし)であるから。 歌詞を紹介しよう。 生りや竹富育や仲間ぬまざかい エイヨウヌヒヤルガヨウ (まりやたきどん すだつやなかまぬまざかい) なゆぬうゆんいきゃぬつぃにゃんど仲間くひだ (なゆぬゆんいきゃぬつぃにゃんどなかまくひ《い?》だ) 大浦田ぬみなぐつぃぬゆやんどう (うはらだぬみなぐつぃぬやんどー) 餅米ぬ白米ぬやんどう (むちぐみぬしるぐみぬゆやんどー) この最初の「竹富」(ダキドン)から「武富節」(だきどぅんぶし)と呼ばれるのだろう。 あくまで想像の域であるが、 (本歌)真栄節(八重山民謡)→白瀬走川節(久米島民謡)→武富節(古典)→本貫花・貫花(舞踊曲) という流れで歌が広がっていったのではないだろうか。 貫花というのは、色々な花を糸で貫いてハワイのレイのようなものを持って踊る。 久米島には桜が今はみられないので、白ツツジや赤ツツジを桜にたとえたという説。昔は桜があったという説がある。 前回の「サーサー節」の3番で「糸をもらえこどもよ、それで露の玉をつないだりして遊ぼう」という歌詞と、この3番が関連しているように思える。 ところで、「ゆいり」には2説ある。 胤森さんによると 「琉歌大成」では「捨てろ」 「沖縄古語辞典」では「もらえよ」となっているが、 「赤糸は喜びの象徴で祝儀に使われ、白は不幸に使われる。」ことから 「捨てろ」が妥当だという。 しかし、私には疑問がのこる。 ・なぜ、不幸の色の白糸で貫花をわざわざ作ってから子どもに捨てろというのか? それから「花笠節」という唄の副題に「白糸節」と一名があり、四番に「白糸 かきやい貫花造とて里前御衣 里と我が仲語らんむんぬん 我がうてちちゅみ」 白糸が不吉ならこの唄は不吉な唄となるが、そうではないのは何故か?

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