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Channel: たるーの島唄まじめな研究
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白骨節

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白骨節 しらくちぶし Shirakuchi bushi ◯白骨の歌 語句・くち 「骨(こつ)。遺骨」【沖縄語辞典】。いわゆる骨(ほね)は「ふに」(例 そーきぶに;あばら骨)。「くち」は遺骨、死んだ人の骨をいう。kuchi<kotsuの三母音化(o→u,e→i)。 歌三線 大城美佐子 一、白骨になやい 白浜ぬ砂とぅぬ共にヨー骨や 晒さりてぃでんし しらくちになやい しらはまぬしなとぅとぅむに(よー)くちや さらさりてぃでんし Sirakuchi ni nayai shirahama nu shina tu tumu ni yoo kuchi ya sarasariti deNshi ◯私は白骨になって白浜の砂と一緒に骨はさらされてさえ 語句・でんし 「さえ。すら。だに。」【沖縄語辞典】。 二、惜しむ身やねさみ 互に思みちやい 里とぅヨー手ゆ連りてぃ 海に身ゆ投ぎてぃ うしむみやねさみ たげにうみちやい さとぅとぅ(よー)てぃゆちりてぃ うみにみゆなぎてぃ ushimu mii ya nesami tage ni 'umichiyai satu tu yoo tii yu chiriti 'umi ni mii yu nagiti ◯死んでも惜しむ人はないのだ 互いに死を決断して愛する彼と手を取り合って海に身を投げて 語句・うしむ 「惜しい」に対応するウチナーグチは、「あたらしゅん」「いちゃさん」、「惜しむ」は「あったる」。これは大和口(やまとぅぐち、標準語。)。・ねさみ ね<ねーん;ない。+さみ 「…なのだぞ。…なんだよ」【沖縄語辞典】。入らないと ・うみちやい 決断して。<うみちゆん 。「思い切る。あきらめる。」【沖縄語辞典】。 三、放すなよ死出ぬ旅に行くまでぃや 儘どーや一道なてぃ いちゃる云語れや はなすなよ しでぃぬたびにいくまでぃや ままどーやーちゅみちなてぃ いちゃるいかたれや Hanasuna yo shidi nu tabi ni 'iku madi ya mama doo yaa chumichi nati 'icharu 'ikatare ya ◯離すなよ手を 死出の旅に行くまでは一緒だよと二人は一心同体になると語った約束は 語句・まま 「一緒。共。」【沖縄語辞典】。・どーやー だよ。ちゅみち 「一つの道。同じ道。同じ方針で進むこと。協力してすること」【沖縄語辞典】。一心同体、とした。・いかたれ「男女の契り。男女の語らい」【沖縄語辞典】。普通の「会話」ではない。男女が将来の約束をすること。 四、固く信じてぃどぅ命ん 捨てぃたしが 里やヨー肝変わてぃ 死ぬる命惜しでぃ かたくしんじてぃてぃどぅぬちんしてぃたしが さとぅや(よー)ちむかわてぃ しぬるぬちうしでぃ Kataku shiNjitu du nuchiN shitita shiga satu ya yoo chimu kawati shinuru nuchi ushidi ◯固く信じてたから命も捨てたけど あの人は心変わりして死ぬ命も惜しんで 五、かかりわん放す しがりわん押し放ち 無情にヨー我ん一人荒波ぬ中に捨てぃてぃ行方ねらん かかりわんはなす しがりわんうしはなち むじょーに(よー)わんひちゅい あらなみぬなかにしてぃてぃゆくいねらん kakariwaN hanasu shigariwaN 'sushi hanachi mujoo ni yoo waN hichui 'aranami nu naka ni shititi yukui neraN ◯彼を頼っても放す すがっても押し放して 無情にも私一人荒波の中に捨てられて行方知れずになって 語句・かかりわん 頼っても。<かかゆん。たよる。 +わん<ば、仮定。+も。強調。 ・しがりわん すがっても。< しがゆん。「縋る。つかまって、たよりとする」【沖縄語辞典】。すがる。・むじょー 無情。・ゆくい 行方。 音源は「沖縄うらみ節」(大城美佐子)。 沖縄民謡では「心中もの」はめったにない。 「心中」や「自死」は、沖縄の伝統文化・宗教観の中では認められないものがある。 たとえば自死(自殺)者は門中墓(親族が入る墓)にははいることができない。 歌詞は、1番から5番まで繋げて読むと一つの物語として読める。

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